ラスベガス旅行の現地2日目

ラスベガスに着いて2日目、今日は4人揃ってプレミアムアウトレットに出かけた。
ラスベガスのホテルからタクシーで行くことも可能だが、それではあっという間に到着してしまうのでつまらないと思い、移動手段は二階建てバスの「デュース」を使うことにした。

このデュースは一回$2。一日券を買っても$5という安さでラスベガスでは非常に人気がある。
私たちの滞在しているパリスホテル前に停留所があり、そこから南回りで乗車。そこそこ混んではいたがラッキーな事に2階席の最前列に座ることができた。両親も夜とはまた一味違ったラスベガスの風景に満足そうであった。
しかし、この「デュース」はアウトレットまでの直通はなく、ストリップを北上した途中で下車しなければならないのだが、降車する停留所を勘違いしてしまい
ダウンタウンの終点ターミナルまで行ってしまった。(もっと北上してから降りた記憶があった)
このターミナルは相変わらず浮浪者みたいな者の溜まり場になっていて、ラスベガスのエリアの中では非常に治安の悪い場所・・・
元々海外旅行(特に物騒なアメリカ)に乗り気ではなかった両親に、ラスベガスは治安がいいという事を何度も言い聞かせていたので、一刻も早くその場を立ち去りたかった。
数年前ラスベガスに来たときにも、この終点ターミナルで降ろされてしまった事があり、深夜の遅い時間帯だったので非常に怖い思いをしたことがあった。
ともあれ、時間もかかってしまったが無事にプレミアムアウトレットに到着した。

私と父は特に欲しい物はなかったのだが、嫁と母はCOACHでの買い物に没頭した。
母は土産を買いあさり、またそれを嫁に見立ててもらったというお礼に、嫁にまでバッグを奮発するという有頂天ぶりであった。
満足のいく買い物も済ませ、午後2時を過ぎたのでそろそろホテルに戻ろうという事になった。
持ちきれないほどの買物袋を両手に抱え、私たち4人はバス停へと向かった。
どこにバス停があるのか定かではなかったが、周りの人が歩く方向へと一緒になって付いていった。
すると、そこに巨漢の黒人女性2名と数人の白人男性がバスを待っていた。私は何気にふとバス停の案内板を見た。するとそこには「キャットバス」という文字は表示してあるのだが「デュース」という文字がどこにも見当たらないのだ。

「このバスでいいのだろうか?・・・」
その2人の黒人女性が、ベンチに座って何やら雑談しているのが
目に留まった。私は二人に歩み寄り、話せもしない片言の英語で話し掛けてみた。
チケットを見せながら「このチケットでキャットバスは乗れますか?」と聞いてみた。(本人は聞いているつもり)
今思えば、異国の地で気楽に外国人に話しかける自分の姿を、何気なく両親に見せたかったのだろうと思う。
しかしそれが裏目にでてしまった。

その2人の黒人女性は私の言葉を全く理解できなかったのか、ただ不機嫌な顔をするだけで、凄く無愛想な態度で私をあしらった。
私は「聞く相手を間違えた!」と瞬間的に思い、途中で話すのを諦め、家族の所まで戻って行った。(これで何事もなかった筈だった)
すると、先程の2人の黒人女性のうちの1人が私たちの所にやってきた。
結構な早口だったのでよく意味が把握できなかったのだが、
何となく・・「さっきのチケットをもう一度みせて!?!」
という感じに聞き取れた。私がチケットを見せると、そのチケットを指して何やら喋り始めた。
私は先ほど質問した意味を理解してくれてご丁寧にも説明に来てくれたのかと一瞬思った。
しかし言葉の語尾が物凄く強く、捲くし立てる様な話し方だったので、それとは違う事はすぐに察しがついた。
話の内容はこうである・・(たぶん)
私の持っていたチケットを指して「これは彼女(片方の黒人女性)の落としたチケットだから返しなさい!あなた、さっきこれを(チケット)落としませんでしたか?と尋ねて来たたじゃないの!?」・・

言いがかりなのか、詐欺なのか(笑)いずれにせよ相手にしてもしょうがないと思い、(本当はとても怖かったから(笑))
その女たちを振り切るようにタクシー乗り場から車を拾った。
過去、ラスベガスに来てこんな嫌な思いは味わった事がなかったのに・・・
なぜ今回に限って!?・・・
「ラスベガスは治安のよい街!」を両親にも豪語してきたのに!・・・
私の中で「ラスベガス安全説」が崩れた瞬間であった。
嫁や両親にも嫌な思いをさせてしまった。
・・・「あんな事、聞かなければよかった」
帰りのタクシーの中、4人はとても無口だった。